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第83話 待ち合わせ場所
【カテゴリ:微妙な付き合い 】   




イベント会場の出口へと足早に向かいながら、花子さんに電話したとき、

”お疲れ様”と、まずかけられた言葉に、とても癒された気分でした。

”お疲れ様”って、こんなにいい言葉だったのかなぁと思ったりしまして。

なんて、僕は、ちょっと単純だったんですけれども…。

疲れていただけに、なんだかとても嬉しかったです。

でも、僕が花子さんをかなり待たせてしまったのは確かでして、まずはそれを謝らねばと思いました。

僕 「あ、はい。花子さんこそ、お疲れ様です。あの、僕の方は今終わりまして…。すごくお待たせしてしまって、本当にすみません」

なんて、小走りしながら携帯に頭を下げるという、なんだか怪しい動きになっていたのでした。

花子さん 「いいえ、それはお仕事ですから、気になさらないでください」

と、花子さんの方は、ちょっと苦笑気味。

そして、焦っている僕とは対照的に、すごく落ち着いております。

僕 「そういっていただけると、気が楽になります」

花子さん 「私も、小太郎さんとお会いできるので、とても楽しみですから」

僕 「あ、はぁ…。そ、そうですか。それは、良かったです…」

花子さん 「はい、とても良かったです」

なんて、感じで、焦りまくっている僕に対して、花子さんはなんとも穏やかな口調でしてね。

その声からは、一時間以上も待たされたイライラも感じられず…。

落ち着いた雰囲気は、彼女を待たせてしまっていることを僕に忘れさせそうなほどだったのでした。

僕 「あ、それで、今、どこにいらっしゃるのでしょうか? これから、会場を出ようと思うのですが、とにかく早く着くように、頑張りますので」

もう、これ以上、なるべく待たせないように、花子さんの居るところに出来る限り早く到達することを考えていたのでした。

そのためには、まず、りんかい線に乗るのか、ゆりかもめに乗るのか、早く決めないといけないわけです。

が…。

花子さん 「小太郎さん、今、地上にいらっしゃるんですか?」

なんてことを聞かれましてね。

ビッグサイトに行かれたことがない方も多いかと思いますのでちょっと説明しますが、ここは、とにかく大きいので、出口が結構ありまして。

で、駅のあるほうが多分正面だと思うんですが、そちら側には、道路(地表)と同じ高さの部分(多分、一階)がまずありまして、そこから一階分昇ったところ(多分、二階)に、とても広い場所があるんですね。

その広い場所を通過してから建物本体に入るようになっています。

電車などから降りてきた大抵の人は、そこを通ると思われますので、おそらくそこがメインの入り口。

しかも、空がちゃんと見えるのは、一階ではなく、その二階部分なので、地上と言われれば、多分そこのことだと思いましてね。

僕 「えっ? あ、いえ、まだ建物の中なんですが、このまま歩けば、地上に出ると思いますけど…」

と返したのでした。

そうしましたら、

花子さん 「そうですか。それなら、大丈夫ですね」

なんて、花子さんが言い出しましてね…。

僕 「え? 何が大丈夫なんですか?」

花子さん 「私、ゆりかもめの駅の方に居ますので」

などと、なんだかあっさり言うわけです。

僕 「えっ!?ここに居るんですか?」

と驚いた僕を尻目に、

花子さん 「はい。小太郎さんを見つけたら、手を振りますね」

なんて、花子さんはやっぱり全く口調が変わらず…。

僕 「わざわざ、来てくださったんですか?」

花子さん 「わざわざでもないですよ。ゆりかもめには、普段乗らないので、とても楽しかったです」

とのこと…。

なんだか、話がずれている気がしないでもないのですが、花子さんといきなり会えるとは思っていなかった僕は、かなり驚いたのでした。

それに、わざわざ足を運ばせてしまったことに、ちょっと罪悪感も覚えましてね。

僕 「遅れてしまって、本当にすみません…」

と、やっぱり謝っていました。

でも、花子さんは、

花子さん 「謝らないでください。それに、待ち合わせ場所は決めて無かったですよね? ですから、ここでいいと思ったから来たのですけれど…」

と言っておりまして…。

花子さんの言うとおり、待ち合わせ場所は事前に決めてなかったのですが、

僕は、彼女には、どこかゆっくり出来るところで待っていてもらって、そこに行くという風に思っていたのです。

というか、電話で会う約束をした時点で、そういうものだと勝手に思い込んでいました。

でも考えてみたら、この日、夕食を食べる場所も花子さんにお任せでしたし、待ち合わせ場所を事前に決めていたわけでもなかったですから、理屈としては、確かに彼女の言うとおりなのでして…。

反論の余地は無かったのでした。

僕 「あ、はい…。では、急いでゆりかもめのところに行きますので」

花子さん 「お待ちしてます」

ということで、電話を切りましてね。

程なくして、僕は建物から出ました。

すると、ゆりかもめの駅のほう、といっても僕が出た出口にかなり近いところに花子さんが立っているのが見えましてね。

花子さんも、すぐに僕を見つけたらしく、ニッコリ笑って手を振ってくれたのでした。





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テーマ:過去を振り返る - ジャンル:恋愛

【2008/08/13 00:44】 | 微妙な付き合い | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
嬉しいですね!
わざわざ会場までお迎えに来て下さる彼女…(^O^)彼氏が来てくれるとかなら聞きますが、優しいですね花子サン★
きっと行くと言ったら、小太郎サンに店で待ってていいと気をつかわせちゃうと思ったんでしょうね!
【2008/08/14 12:34】 URL | びびっと [ 編集] | page top↑
>びびっとさん
嬉しいというのはもちろんありましたが、それよりも、びっくりしたのと、わざわざ足を運ばせてしまった申し訳なさとで、このときは、ちょっと複雑な気分でした。
今思うと、このときも、花子さんなりに、色々と考えてくれていたわけですから、本当にありがたいことだと思います。
【2008/08/15 01:46】 URL | 小太郎 [ 編集] | page top↑
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