第81話 待たされたときのメール
【カテゴリ:微妙な付き合い 】   




その日も夕方に近づき、イベントも終わりに差し掛かっていました。

朝には、別のイベントに参加できるという、良い話があり、少し浮かれていた僕でしたが、

昼過ぎに木戸君と会ったことで、やっぱり就職していないという不安が浮き彫りになってしまい、

結局、それが一番大きく心に引っかかってしまって、かなり凹んでいました。

さらに、前々日の準備のときから、普段はやらない立ち仕事でしたし、

人見知り気味の僕が何人ものお客さんを相手にするということでの気疲れもありました。

そんな感じでかなり疲れていたのですが、それでも、イベントの時間が残り少なかったですから、なんとか乗り切れそうでしてね。

さらに、夕方になると、客足も鈍ってきていました。

大きなブースにはまだ人が居る状況ではありましたが、僕らのような小さいブースにはあまり人が来なくなっていました。

居ても、展示をしている人の関係者とか、特に興味を持った人が今後のコンタクトのための詰めた話をしているとか、そういう状態。

僕には、残念ながら、その場でのコンタクトはなく、ほとんど人が通らなくなった目の前の通路をじっと眺めているような状態になっていました。

周りのブースでは、もう見切りをつけて、早々に後片付けを始める人も居たくらいです。

そして、最後に蛍の光が流れましてね。

イベントの終わりを告げたのでした。

結局、僕のブースで配ったパンフレットはその日300枚くらい。

イベントの初日とあわせて、500枚弱というのは、かなり驚きの数でした。

でも、そのうちのどれだけの人が、僕に興味を持ってくれるのか?というのは、正直疑問でした。

二日目のように説明も聞かずにパンフレットだけを持っていく人もいる状況を見た後では、

あまり大きな期待は出来ないだろうと、すでに悲観モードに突入していたのでした。

次のイベントの予定があるということだけが唯一の救い、という気分になっていましてね…。

蛍の光が終わったとき、ホッとすると同時に、肉体的にも精神的にも、どっと疲れが出てきました。

そんな中で後片付けをしました。


大企業がやっている大きなブースは、後片付けのときもかなり壮観でした。

準備のときと同じように、大工さんのような皆さんがやってきて、ものすごい勢いで解体していきます。

しかも、ぐちゃぐちゃに壊すのではなくきちんと分解してます。そして、大型ディスプレイなど、高価なものはきっちり梱包。

それを、準備用の搬入口に乗りつけた専用のトラックにどんどん積み込んでいきます。

あんなに早いとは思いませんでした。ものすごい手際に驚きです。

場慣れしているというか、きっとこういうイベントの専門の業者の方なのだと思いますが、やっぱりプロは違うなと思いました。

で、僕はと言えば、普通に後片付け。

といっても、もともとブースが小さいので、かなり簡単です。

パソコンの電源を落とし、展示用のパネルをはずし、残ったパンフレットなど、展示に使っていたものをまとめます。

あとは、ブースの周りのゴミを拾って、借りていた椅子とかの備品を返したら、終わってしまいました。

会場には、便利なことに、終了と同時に宅配業者がスタンバイしておりましてね。

展示に使ったものと、もう必要の無い僕の雑多な荷物などを、会場から直接家に発送する手続きができました。

宅配業者には頼めないノートパソコンとか、大事な書類とか、そういう最低限の物だけ、かばんに入れて持ちまして、後片付けは完全に終了。

小さいブースなので、準備も簡単でしたが、撤収作業もかなり簡単だったのでした。

本当は、そのまま会場を出て帰宅して良いのですが、次のイベントの打ち合わせを林さんとすることになっていましたので、

同じ補助金をもらっている、同県の人達の撤収作業が終わるのを待つことに。

ですが、そこで問題がでてきまして…。

少し先でブースをやっている同県の人達のところをみると、なにやら真剣な表情で誰かと話をしていました。

おそらく、やってきたお客さんの中に、興味を持った人がいて、今後のことなどについて話をしているところのようでした。

なので、そちらのブースは、撤収作業が手付かず…。

林さんも、すでに近くに来ていたのですが、彼らの邪魔をするわけにはいかないので、終わるのをじっと待っていました。

が…。

10分経っても、20分経っても、終わらず…。

途中で、補助金をもらっている同県の別の人も撤収作業を終えてこちらに来ていましたが、それでも終わらず…。

僕としては、この後、花子さんと会う約束があるわけでして、彼女にもその日のイベントの終了時間は伝えてありました。

もちろん、多少長引く可能性も伝えてありましたので、多少は大丈夫と思っていましたが、見ている限り、彼らの話が終わりそうな雰囲気はなく…。

人を待たせるのがすごく嫌な僕です。しかも、僕の仕事のコンタクトではなく、他人の仕事の話をただ待っているという状態…。

ため息が出ます。

時間が経つにつれて、花子さんに申し訳ない気持ちがどんどん強くなっていきました。

それに、彼女が待たされて怒ってるんじゃないか?とか、そういうことまで思い始めましてね…。

すごく心配になって、花子さんにメールしたのでした。

僕 ”お待たせしてしまいまして本当に申し訳ないです。用事が長引いてしまっています。終わり次第、すぐにご連絡しますので、待っていただけますでしょうか? 本当にすみません”

という感じで、かなり謝りまくっているメールを送ったのを覚えています。

この時点では、時間も指定できませんでしたから…。

要するに、”いつ終わるかわからないけど待ってください”という意味ですので、あまりにも申し訳なかったものですから、とにかく謝っていたのでした。

でも、それに対する返事は、すぐに返ってきましてね。

しかも、

花子さん ”待った分だけ、楽しさも増えますから”

などという、文面でして…。

待たされてるのにこれですか…。

一瞬、本心なのか?と疑いたくなるほどのお返事に驚いたのですが、そのときの僕にとっては、こういってもらえて、本当にありがたかったのでした。





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【2008/08/05 14:32】 | 微妙な付き合い | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
いいなぁ…!
恋ってステキですね★待たされても、そんな風に思えて言ってくれる花子サンは小太郎サンに恋してるんですね(^O^)可愛いすぎるぅっ!
【2008/08/06 19:56】 URL | びびっと [ 編集] | page top↑
とうとうイベントが終わりましたね。
なんだか読んでいる私までホッとします。
イベントのブースの向こう側は本当にハードなんだな〜と
知りました。
それも、ものすごい詳細な描写なので、まるで自分がそこの
イベントに参加しているようでした!

そんなお疲れの中、花子さんのメールは本当に素敵です。
思いやりと小太郎さんへの気持ちがよくわかります。
同性から見て、この時点で花子さんは小太郎さんに恋してる
と思われますね♪
でも、まだまだお付き合いまでのストーリーは中盤なんです
よね?(^^;)
今後の展開も楽しみにしてます♪
【2008/08/06 23:00】 URL | kawa [ 編集] | page top↑
>びびっとさん
女性の目から見ると、これでもそうだったんでしょうかね…。
今でも僕はそんなこととはあまり思えず、花子さんは、僕が気にせずに居られるようにと気遣ってくれたのだと思っておりまして…。どうなんでしょうかね。


>kawaさん
僕も、モーターショーとか、見に行きますと、見えている部分の華やかなところしか目にしないですから、裏側ってわからないものですよね。

今回、イベントの部分を細かく書けたのは、とてもインパクトのある出来事だったこともありますし、この頃は、補助金から給料を出していたので、一応、作業日誌的なものの提出義務がありまして、それも書いてましてね。それを見ながら、このブログも書きましたので、結構詳しく書くことが出来て、僕自身としてはちょっと満足しています。kawaさんにもなんとかお伝えできたみたいで良かったです。

花子さんのメールはこのときの僕にとってはかなり気が楽になりまして、ありがたいなぁと素直に感謝していました。ただ、このころ、花子さんの恋愛感情というのは、全く感じておらず…。僕が恋愛対象になるなんて思ってませんでしたので、やっぱり高嶺の花という風に思っていました。僕のこういう気持が、この時点でも中盤にしかなってない理由の大きな部分を占めていると思います…。

【2008/08/08 01:07】 URL | 小太郎 [ 編集] | page top↑
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