第70話 朝食の後
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補助金をもらっている仲間の一人との朝食は続きます。

といっても、もりもり食べている彼に対して、僕はオレンジジュースをちびちび飲みながら、ヨーグルトを食べているという、かなり対照的な感じでしたが…。

補助金仲間 「ほんとに、今日、何人来るのか、不安ですよ。パンフも、500部しか作ってないですし」

なんて、今度はイベントのことに話が移っていきました。

彼は、このイベント(というか僕らのブース)に人がたくさんくると思っているようでした。

少なくとも、僕よりはかなり楽観的に人数を予想していたのです。

その前向きな考え方も、うらやましかったです。

補助金仲間 「パンフとか、何部、用意されました?」

僕 「200部です」

補助金仲間 「えっ! それで足ります?二日分ですよね?」

僕 「私は足りると思ったんですが…。これでも余るんじゃないかと。少ないでしょうかね?」

補助金仲間 「あぁ、そっか。すでに引き合いが来てるから、パンフばら撒かなくて良いんですよね」

僕 「え、いや、そういうわけでもないんですが…」

パンフレットの数をどのくらい用意するか?というのは僕も印刷会社に発注するときに悩みまして。

大きな企業のブースならいざ知らず、会場の片隅の小さいブースになど、人がそれほど来るとは思っていませんでしたので。

一日100部、二日で200部という計算も、かなり思い切って多くしたという感じだったんです。

でも、それが少ないといわれてしまうと、ちょっと不安の種が増えるわけです。

補助金仲間 「ほんと、すごいですね」

なんて、僕に感心している彼なんですが、感心していたのは僕のほうなんですよね。

まっすぐに補助金の趣旨に沿って、起業に向けて頑張っているということが、やはりすごいなぁと思いました。

同時に、僕は自分の情けなさも、感じておりまして…。

同じ補助金をもらっていることが、やっぱり、少し後ろめたくなりましてね。

なんだか、彼と話をしているのが辛くなってきました。

幸いなことに、ヨーグルトもオレンジジュースも残り少なかったですので、それをさっさと口に入れて、

僕 「すいません。ちょっと準備もありますので、お先に、失礼します」

と、席を立ったのでした。

補助金仲間 「そうですか。ではまた後で」

と、にこやかに言う彼の言葉に送られながら、僕はレストランを後にしました。

そして部屋に戻ります。

自然にため息が出てきました。

僕みたいな気持ちの人はイベントに参加してはいけないのではないかと思ってしまいまして。

ひとしきり、ベッドに座って悩みました。

それでも、会場に行く時間になると、僕はやっぱりちゃんと立ち上がって向かっていました。


9時にイベントが始まって、お客さんが入ってくるのですが、ブース展示をする人たちは、その前から準備のために会場入りすることができました。

なので、僕は、8時過ぎには、ホテルを出て、歩いて会場に向かいました。

目の前でしたので、歩いている時間は10分もない位だったと思います。

その道を、他の参加者と思しき人たちの流れに乗って歩いていきました。

そのとき、僕の携帯に、メールが入っていたことに気が付きまして。

朝食を食べに行ったときには、携帯を持っていませんでしたので、その間に着信していたのでした。

しかも、イベントのことで頭がいっぱいの僕は、そのときまで気がつかず、時間を見ようと、ふと携帯を出して初めて気が付いたのでした。

メールの差出人は、花子さんでした。

その名前を見た瞬間、ドキッとしました。

花子さんとの食事は次の日の約束ですし、今連絡をする必要はないはずですから。

なので、何か用事ができたから会えなくなったとか、そういうことなんじゃないかと思いました。

急いでメールを開きます。

すると、普通の挨拶などがあって、予定変更を告げる言葉などがあるわけでもなく…。

花子さん ”日曜日、お会いするのを楽しみにしています”

ということが書いてあり、

最後に、

花子さん ”展示がうまくいきますように、お祈りしています”

という一文が目に飛び込んできましてね。

すごくうれしかったです。

朝ですし、花子さんも忙しいはずなのに、僕のことを気にしてくれていたのもわかりましたし、

何よりも一番緊張しているときに、こういう言葉をかけてもらえたことが、胸にしみました。

先ほどまで、ちょっと悩んでいたことに関しても、忘れたわけではありませんが、少し気が楽になっていました。

とにかく、僕はやらないといけないことがあるわけで、それをやってから、また考えようという風に思えたのでした。

本当に、このときのメールには元気付けられた気がします。

返事はいらないと書いてあったので、そのときには何も返しませんでしたが、

花子さんに会ったら、ちゃんとお礼を言おうと心に決めて、会場に向かいました。





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【2008/06/17 08:50】 | 微妙な付き合い | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
魔法の言葉
その時の小太郎サンに花子サンがいてくれてほんとに良かったですねo(^o^)o!
大切な時にきっかけをくれる一言ってありますよねぇ。続きも楽しみにしています(^-^)/
【2008/06/17 22:02】 URL | びびっと [ 編集] | page top↑
小太郎さんには背水の陣って気持ちもあった事でしょうから、プレッシャーもかなりあったでしょうね。
そういう時にくれるメールは、いつになく、ありがたく感じますよね。
【2008/06/18 08:09】 URL | タイガ [ 編集] | page top↑
>びびっとさん
そうですね。このときは、ブース展示なんて初めての経験でしたし、とにかくわからないことだらけ、不安いっぱいでしたので、このタイミングでのメールは本当にうれしかったです。花子さんもそういう僕の精神状態は、前々からわかっていたみたいですが、絶妙なときにメールをくれたものだなぁと思います。


>タイガさん
おっしゃる通りでして、これがうまくいかなければ、またもとの状態に戻ってしまうという恐怖感がありましたので、プレッシャーはかなりのものでした。今なら、そんなに気合入れなくても良かったのにって思えるんですけどね(笑)
特にこの時間を狙っていたわけではないように思いますが、このとき、タイミングよくメールをくれた彼女にはとても感謝しています。
【2008/06/18 13:51】 URL | 小太郎 [ 編集] | page top↑
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